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  29.異色の経験が老舗に新たな原動力を与える

  
株式会社 川ばた乃エキス



社長代理 川端 安利 氏

TVやスーパーでよく見かける「しじみ」成分を活かした食品群。健康素材として注目を浴びている。そんなしじみを中心に扱っている企業が港区にある。明治15年の創業以来、独自の伝統製法によるしじみエキスの製造販売を手掛ける「株式会社川ばた乃エキス」だ。法人会青年部に所属する川端安利さんは前職で建築設計でデザイン業務を手掛けていたユニークな経歴を持つ。その川端さんが挑む「伝統の継承」と「老舗の未来」について迫ってみた。

会社概要
概 要
 株式会社 川ばた乃エキス(販売)
〒455-0863 名古屋市港区新茶屋3-318
フリーダイヤル:0120-474-425 (受付時間9:00〜17:00)
 株式会社 かわばた(製造)
〒455-0863 名古屋市港区新茶屋3-318
http://www.ekisu.com/



左 川端のしじみエキス(原液)
右 若い世代に向けた生姜タブレット


伝統的なしじみ漁の様子








川ばた乃エキス ホームページ
 
川端 そもそも『しじみ』ってよくわからなかったです。海で獲れるのか、川で獲れるのかも。知っていたことといえば『貝』かなっていうくらいで。(笑)

― 確かに前職がデザイン業務であれば、全く無縁の世界だ。

川端 でも、いろいろ見て学んでいくうちに客観的に見ても、『しじみ』ってスゴイなと感心しました。よく呑む方は体をいたわるために『しじみエキス』を試してもらいたいですね。

― もともと創業明治15年の「川端商会」という貝類を扱う小さな商店から紆余曲折を経て現在の形に至った。今年で創業130年。驚くことにしじみエキスの作り方が創業当時からほとんど変わっていない。工場にはいくつも大きな鉄がまがあり、火をおこし、素材を煮出して、煮詰めていくというシンプルなもの。それゆえに、「素材」と「技」には妥協が許されないようだ。入社間もない頃は「しじみ漁」に同船したり、夏場は50℃近い工場で作業もしたりすることは今もあるそうだ。

川端 『しじみ』は、縄文時代から食べられていたんです。良質なタンパク源ですからね。歴史で習う『貝塚』。あのほとんどは『ヤマトしじみ』の殻なんです。うちが使っているのも「ヤマトしじみ」。それも愛知と三重の県境を流れる木曽川で獲れるものだけ。日本人にはDNA的に刷り込まれている食材なんですね。(笑)

― 前職の経験は生かされているのだろうか?

川端 どうでしょう?直接は全く役に立ちませんね。(笑) でも、パンフレットやチラシのデータをつくって印刷所にまわしたり、ホームページも自分で制作して、更新できているのは、前職で培った『感覚』が活かせているからだと思います。

― 目の前に並べられたパンフレットやホームページ、ウエブショップに至るまで、業者が制作したといってもおかしくない出来栄え。もともと外部の業者に発注していたが、期待するレベルを越えるところがなく、自ら手掛けるようになった。すべて独学だ。趣味の写真も活かされている。一眼レフカメラを手にライティングを駆使しながら撮影する。「少人数で業務をこなすために、自分にできることは何でもやる」とのことだが、プロ顔負けのレベルだ。

川端 すべてはお客様のためです。“古い企業”はいいですが、“古臭い企業”というイメージは脱却したいですね。とにかくお客様には『しじみファン』になってもらえるように。そのためには、常に買う側(=お客様)の立場にたって、物事を考えられるかどうかです。電話の対応・説明の仕方・資料の内容などまだまだ充実させる必要があります。マニュアル的な対応を冷たく思われる方もいらっしゃいますので、難しいところですね。

― 最近はインターネットで調べてから問合せる個人の方が多いそうだ。そのまま注文につながるケースも。『しじみが肝臓にいいってホントですか。』とか『健康診断でγ(ガンマ)-GTPが上昇してきたのですが。』という相談に近い質問もよくある。

川端 簡単にいうと肝臓はアルコールなどを分解してくれる器官なんです。呑み過ぎで過度に働かせると、疲弊して分解できなくなるんです。そこで、良質なタンパク質である『しじみ』がいいんです。低脂肪なのもポイントです。『呑んだ後にはしじみの味噌汁』という伝統は、本質をついていて、体が必要としているということなんです。

― なるほど。では、今後の老舗の在り方はどうか?

川端 いま一般的に「健康食品」や「サプリメント」は形状が粒状やカプセルが主流です。またしじみが使われていないのに「しじみ○○個分の…」というような宣伝も目に余る状況です。当社の『しじみエキス』はしじみだけで出来ていて、もともとサプリメントなんて言葉のない時代からあるわけです。私も毎日せっせと摂っています。べたべたしていてオブラートに包まないと飲みにくいですが、味わいがあります。それが最大の特徴です。この特徴にはいままであまり着目されてきませんでした。それを生かした商品開発はいつも頭の片隅においてあります。昨年から熊野の和菓子屋さんとコラボレーションして製品の試作を行っています。

― 130年の歴史を誇る老舗だからこそ確かめられた品質と、長年使ってもらっている50から60代を中心とした顧客層。それだからこそ直面する問題もある。「将来の顧客をどうやって獲得するか」だ。

川端 口伝的に伝わる『しじみの良さ』を後世にも広げなければなりません。若い世代にPRしたいですね。そのために世代にマッチした商品から会社の存在を知ってもらいたいです。そこで30代くらいの方の特に女性を意識して、『GINGER100』というタブレットを製品化しました。生姜紅茶って流行っているんです。でも、一般的に売っているものは、『糖分』が主成分。確かに、甘いからおいしいんですが、生姜の量を調整できない。『GINGER100』は紅茶にお好みの数だけ入れてもらえばよくて、とても手軽です。そして意外とおいしいんです。自分もそうなんですが、冷え症の方に温まってもらいたいです。そしていま伏見の映画館でサンプルを配るキャンペーンもやっています。抽選で紅茶がその場で飲めるんです。生姜紅茶にしても飲んでもらおうと思って。

― インタビューの間にいただいた生姜紅茶で、喉から確かに温かさがじんわり伝わってくる。想像していたよりおいしい。

川端 「器用さ」がこれまで以上に重要になってきます。問屋さんに卸していれば充分だった時代はすでに過去です。問屋さんの顔もたてながら、自社でも通販を展開せざるを得ない。通販に特化した商品も少しずつ作っています。ほとんどトップダウンで決めます。自分で企画して、自分でパッケージをつくって、自分でチラシをデザインして配る(笑)そうしないと何も変わりません。



PROFILE…

三重大学大学院で建築学を専門に学
び、国費留学生としてスペイン留学も経験。帰国後は建築設計事務所に勤務。5年間勤めた後に転職。製造から販売・販促まで、ほぼすべての業務に従事。現在、社長代理として会社全体を見渡す。


 





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