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28. 次代のドラゴンズを担う若手選手の指導役


  
昇竜館 館長 豊田 誠佑 氏

プロフィール ●

1956年生まれ 東京都出身
日大三高から明治大学を経て、1979年にドラフト外で中日ドラゴンズに入団。
巨人の江川卓氏と相性が良く、『江川キラー』として知られた。
引退後は中日コーチ、スカウトを務める。
通算打率 .245 13本塁打。
 
















ドラゴンズ一筋33年

 最初、館長の話が来た時には、引き受けようか断ろうかで少し悩みました。仕事の性質上、拘束される時間が長いんです。まだ若いですから(笑)。60過ぎたらいいかな、とか思いました。いろいろ考えましたけれど。私はナゴヤ球場で育ちましたから、この町が大好きなんです。それで引き受けることにしました。しかし、ナゴヤ球場も様変わりして、今ではスタンドもなくなってしまいました。ちょっと寂しいですね。
 館長になって今年で3年目になります。こちらに一人で住み込んで若手の面倒をみています。
 明治大学からドラゴンズに入団して、もう33年間ドラゴンズにお世話になっていることになります。選手を10年やって、コーチを10年やって、スカウトを10年やって、ここに来て3年です。
 現在昇竜館には21名の若手選手がいます。慣れない仕事でもあり、就任した直後が一番きつかったですね。選手達の間にもちょっとだらけたところがありましたから。高校からプロになった人は4年間、大学生や社会人からここに来た人は2年間ここで生活をすることになっています。
 地元の出身でも一度は寮に入るルールです。社会人で、もう結婚している人は入らなくてもいいことになっています。去年社会人から入った大島選手なんかはそうですね。もう子どももいました。
 ここでの生活がダメな奴は、早目に出します。寮のありがたみを知りなさい、と。ここでご飯を食べない子もいるんですよ。朝は強制的に食べさせますけれど。「時間が来ればご飯ができていて、お風呂にも入れる、こんな幸せな所はないんだぞ」と、いつも言っています。「なんでフラフラ外に行ってメシ食ってんだ」っていう話です。
 外に出れば自分で何を食べるか考えなくてはいけません。栄養のことなどにも気をつけなくてはいけませんし、お酒を飲みすぎて調子を崩してしまうかもしれません。そういう苦労を知りなさい、と。
 一度寮を出ても、また戻ってくる子も多いですよ。みんな寮の方が良かった、と言いますね。

叱るのも大変です

 若い子の指導で大事なのは、根気よく叱ってやることですね。顔を見れば叱ってやる(笑)。同じことを言い続ける。そうするとだんだん良くなってくる。
 私は明治大学時代に、熱血監督で有名な島岡監督の下で育ちましたから。技術よりも人間力、という指導でした。寮生活なんかも非常に厳しくしつけられてきました。当時は鉄拳制裁が当たり前の時代です。私もよく殴られました。
 今の子に対しては、当然手は出せないですよね。時代が違います。その分叱ってやらないと。
 高校や大学からプロに入ってくる子が多いんですけれど、彼らに共通して言えるのは、野球に対して「仕事」という感覚がないということなんです。「お金をもらって野球をやっているんだよ」「これは仕事なんだよ」ということをいつも言っています。「プロ」という自覚がないんです。なんで野球をやって、こんなにもお給料がもらえるんだろう?ということがわかっていないので、それが私生活に表れるんですよね。朝起きてこないとか。夜遊びしてしまって、朝起きられないなんてことがあると「バカヤロー」って怒鳴りつけますよ。グラウンドに行かない、とか練習を休むというのは仕事の放棄でしょう。練習開始の2時間前には食事をとって、準備をしておかなくてはいけません。
 門限は10時半です。遊びたいさかりの子にしてみれば早いですよ。私が着任したばかりの頃は、朝起きてこない子が多かったですね。それからは毎日叱りましたね。朝から叱りっぱなしで、イヤになっちゃいましたよ(笑)。叱るっていうのはエネルギーがいるじゃないですか。叱る方もつらいんです。最初の一年間は本当に大変でした。
 朝起きられない子っていうのは、たいてい門限を破った子です。当然ですよね。3時4時まで遊んでいて朝起きられるわけありません。
 普通の仕事をしている人たちは、遊んだ次の日でもしっかり起きて仕事に行きますよね?当たり前のことです。そんなのは当然のことなんですけれど、それができなかった。
 朝起きてこないことについては非常に厳しく言いますが、その分門限については大目にみるようにしています。どちらかで逃がしてやらないと。両方締めてしまうとダメですね。そうやってバランスをとっています。

怖いのはケガと病気

 将来のドラゴンズを担う選手という、会社の財産を預かっているわけですから、大事に育てないといけません。ケガと病気が一番心配ですね。グラウンドでケガをするのはある程度仕方がないのかもしれませんが。
 この間も、キャンプから帰ってきたその日に廊下で転んで、手をついてしまった選手がいました。期待されたピッチャーだったんですけれど。まだギプスをしていますよ。せっかくキャンプで毎日投げて力をつけてきたのに、ちょっとした不注意で、やってきたことがゼロに戻ってしまうんです。1ヵ月何してきたんだ、ということになってしまいます。だからケガには気をつけろと。その辺はうるさく言っています。
 カゼも恐いですよ。自分だけでなく回りにうつりますから。練習から帰ってきたらすぐに風呂に入るように、言っています。

重視するのは「人間づくり」

 若い子を相手にするのは体力のいる仕事ですから、自分自身の体調管理にも気を使っています。毎日5キロくらい走って体力の維持に努めています。体重は選手の頃と変わっていないです。こんないい環境のもとに置いて頂いていますから。設備は揃っています。トレーニングもできますしね。気を使って、選手のいない時に(笑)。
 あとは、選手達がユニフォームを脱いだ後のことを考えています。選手としての野球人生なんて短いものですからね。平均すると9年くらいといわれています。プロ野球選手を引退してからの人生の方が長いわけです。はっきり言って、入団してきた選手全員が一軍で活躍できるわけではないんです。ほとんどの人が、活躍できずに終わる世界です。
 そんなことをここに入ってきてすぐの選手に言ったりはしませんが、でもそれが現実です。
 ユニフォームを脱いでからの人生の方が長いんだから、そこで通用する人間づくりって言うんでしょうか、そういうことをしっかりとしてあげたいと思っています。挨拶もできない、返事もできないような人は、どこの会社も採らないじゃないですか。そんな人間にならないように、ここでうるさく言うんです。出来なければ、できるよ
うになるまで同じことを何度でも言います。そうでないと選手達がかわいそうですから。
 プロ野球選手としてだけではなく、一人の社会人としてどうあるべきか、若い選手達には考えて欲しいですね。






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