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27. 生き物の素晴らしさを伝えたい


   名古屋港水族館 館長 祖一 誠
(そいち まこと)
トビウオの幼魚です

プロフィール ●

鹿児島大学水産学部卒業
1970年鴨川シーワールド入社
1999年鴨川シーワールド館長就任
2007年顧問に就任
2008年11月名古屋港水族館2代目館長に就任

名古屋港水族館ホームページ
http://www.nagoyaaqua.jp/aqua/index.html
 




















水族館の仕事を

 生まれは兵庫県の三木市です。そこで高校生までを過ごしました。 子どもの頃から生き物が好きで、ため池や川で釣りをしていました。その頃、伝書鳩ブームというのがありまして、自分で鳩小屋を造ってたくさんの鳩を飼っていました。
 そういったことで、生き物に関係した大学に行きたいなと考えていて、鹿児島大学の水産学部に入学しました。三木市という所は盆地にありまして、海が身近ではなかったですから、海に対するあこがれのようなものもあり、水産学部に興味を持ったのです。 当時「獲る漁業から作る漁業へ」というように言われていました。栽培漁業センターというものが全国で建設され、マスコミで注目を浴びていて、面白そうだとも感じました。 あと、希望した増殖科は先生方が6名に対して学生が10名という教育環境も魅力的でした。それで鹿児島大学に進学を決めたのです。
 今でこそポピュラーになりましたが、当時はまだ珍しかったダイビングを手段として海に潜って海洋生物を調べる「海洋生態研究会」というサークルがあって、面白そうだったので、そこに入りました。そこで潜りを覚えて、すっかりダイビングの魅力にとりつかれてしまいました。大学の4年間は勉強もせずに海に潜ってばかりいましたね(笑)。
 卒業の時に、就職するのであれば、海に関係した企業に勤めたいなと思っていたところ、知人から、千葉県の房総に新しく水族館ができるらしいと聞き、他にピンとくる仕事もなかったので、とりあえずお願いします、という感じで(笑)就職したのが「鴨川シーワールド」という所です。
 そこで38年間過ごしました。水族館しかやったことがないという経歴です

新しい仲間


 私が名古屋に来たのが、シャチのクーが死んでから2ヵ月後の、2008年の11月でした。あいさつ回りで関係各所に伺ったんですが、その時、皆さんから「クーが死んでしまったので新しくシャチを連れてきて下さい」とお願いされました。「シャチは名古屋の象徴ですから」と。すぐに「はい、わかりました」とは言えないですから、なんとか努力しましょう、と返事をしました。
 いろいろな方とのおつきあいもありましたから、あちこちにお話をしまして、その中で「太地町立くじらの博物館」からいい返事を頂くことができまして、譲り受けることになり、2010年の6月に『ナミ』がやって来ました。

 ナミがやって来ますと、名古屋の方はせっかちな方が多いのでしょうか、すぐに「お婿さんはどうするんですか」と聞かれました(笑)。そんなに次々と来ませんよ。
 そもそも世界中で飼育されているシャチはたったの42頭しかいないのです。そのうち、日本にいるのは8頭です。名古屋港水族館の他には鴨川シーワールドにしかいないのです。
 ただ、名古屋には、シャチを飼育できる日本有数の素晴らしいプールがあります。そのプールをシャチのためにも有効活用したいという思いがありました。さらに、シャチは絶滅危惧種であり、水族館で保護して繁殖させる必要もあります。それで鴨川シーワールドと話をしまして、繁殖を目的とした貸与という形で話がまとまりました。それがオスの「ビンゴ」です。しかし、1頭だけ移動させてもストレスになりますから、2頭で移動させた方が名古屋の新しい環境にも早く慣れるだろう、ということで、メスの「ステラ」も貸与して頂くことになりました。実はその2頭は夫婦で、過去に4頭の子どもを産んでいるんです。繁殖経験がありますから、その2頭の間にまた子どもができる確率は高いです。ですから、非常に順調にいった場合、ステラが妊娠して、ナミも妊娠する、ということもあるわけで、非常に期待しています。
 引っ越しは2011年1月から2月の予定で、海の状態とシャチの健康状態を見て決定するということになっています。ただ、輸送が大変です。なにしろ大きいですから、全長が6m50cmで体重が4tです。ナミを屋内の治療プールに入れた時に使った扉ではビンゴが大きすぎて入らないんです。天井の天幕を取って、クレーンで吊り上げて入れようという計画です。

 3頭のシャチが揃うと、凄い迫力ですから。是非楽しみにしていて下さい。来たら来たで、「子どもはいつできるんですか?」って聞かれるんでしょうか(笑)。みんなせっかちですからね(笑)。名古屋の環境に慣れるまでには時間がかかりますし、妊娠期間が18ヵ月ありますから、順調にいっても子どもが見られるのは2年以上先のことになりそうです。


イルカと仲良し

 ナミの展示は8月から行っております。ショーはまだ先になりそうですが、トレーニングを1日に5〜7回公開しています。
 食事は1日に55kgくらいの魚を与えています。
 自然のシャチには2つのグループがあります。バンクーバーの入り江で定住しているシャチは、あまり回遊しません。そういうシャチはサケやニシンなどの魚を食べます。

 一方、日本の太平洋沿岸に来るシャチというのは回遊性のシャチです。そういうシャチはイルカとかクジラとかオットセイなどを食べます。ナミは和歌山県沖で捕獲されたシャチですから、回遊性です。ですから海を泳いでいるときはイルカなどを食べていました。
 しかし、今はイルカと一緒に仲良く暮らしています。一緒に暮らしていて、なぜ食べられないんですか?とよく聞かれますが、充分なエサを与えられているので、決してイルカを襲うことはないのです。むしろお互いにコミュニケーションをとって、非常に仲がいいのです。
 ナミは和歌山県から一頭だけで来ました。人間でもそうですが、一人きりでいるとストレスがたまるんですね。ですから、遊び相手を入れてやろうということで、名古屋に慣れてきたころに、イルカたちとお見合いをさせたんです。ただ、イルカたちにしてみれば、自分たちの居住空間によそ者が来たわけですから頭にきたんでしょうね、ナミは8頭いたイルカに追いかけ回されていました。海の王者が台無しです(笑)。
 そういうことを段階的に行っていき、今ではイルカが好意的にナミに接していくようになりました。ナミもイルカを気に入って、今では非常にいい関係を保っています。

名古屋港水族館の見どころは

 名古屋港水族館は研究活動にも力を入れています。ペンギンの繁殖などは世界に誇れるレベルです。今はちょうど繁殖シーズンで、ヒナが次々と孵化しています。
 そしてウミガメです。これも世界に胸を張れます。新しい試みとして、日本有数のウミガメの産卵地である渥美半島の表浜海岸で、水族館で産まれた卵を砂浜に埋め戻し自然ふ化させています。
 他にも、マスコミでも話題になりましたけれどイワシの群れです。たかがイワシなんですけれど、トルネードと称して、群れを展示しました。これは名古屋港で開発した展示方法です。すぐに各地の水族館で真似されてしまいましたが(笑)。名古屋港水族館にはそういう自慢できることはまだまだたくさんあります。

生き物のすばらしさを

 シャチは素晴らしい生き物です。非常に美しいですし、運動能力が高く、また大変利口です。躍動する姿や高い知能。そういったものを名古屋で多くの人に見てもらいたいなと思っています。もちろんシャチだけでなく、生き物って素晴らしいんだ、ということを感じて欲しいですね。水族館では生き物が生まれたり、死んだりもしますが、そんな中で命の大切さということが伝わればいいなと思います。
 あと、イルカやシャチのプールのある北館はまだ新しいのですが、ペンギンや魚のいる南館はもう18年になります。建設当時は画期的なデザインの素晴らしい水槽だったのですが、老朽化も進んでいますから、そろそろ作り直す計画をしてもいいんじゃないのかなという気もしています。
 この18年で水槽を作る技術はものすごく進歩していますし、そのうえ飼育方法や見せ方に関するたくさんのノウハウを蓄積していますから、素晴らしい水族館ができると思います。これが今後の課題だと思います。




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