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16. 1100年の伝統の技を今に伝える
     木地師 大蔵 真 さん

大蔵 真 さん
1963年生まれ。木地師の家系の50代目として、祖父と父の指導を受けながら家業の大蔵製盆に従事。給仕盆、茶盆、菓子器などの伝統的なろくろ細工をメインに製作。伝統の技を取り入れた新しい作品づくりにも積極的に取り組んでいる。















平安時代から50代

 木地師というのは、ろくろを使って木を削り、お盆やお椀などの器を作る職人のこと。その歴史はおよそ1100年ほどの昔、平安時代にまでさかのぼる。大蔵真さんはその50代目にあたる。
 「残っている記録をたどっていくと、平安時代前期の皇子惟喬親王を祖と仰ぎ、日本全国の山の良材を使って、お盆やお椀などのろくろ細工を職業とする山の民の集団だったということがわかりました。かなりの昔からずっと続いているということです。そういった集団が現在は全国に散らばっています。たまたま私の先祖は名古屋を拠点にしていたということのようです。そういうわけで、50代目の木地師というのは、私以外にも全国にたくさんいます。この場所に落ち着いたのは昭和25年頃だと聞いています。私のお祖父さんの代に、奥三河の北設楽郡から名古屋に出てきたそうです。」
 大蔵製盆所があるのはナゴヤ球場のすぐそば。長い歴史と伝統を持つ工房がこんなにもすぐ近くにあるのは少し意外に感じる。

確かな技術が

 工房の中でひときわ目を引くのは古いろくろ。お祖父さんの代から使用しているもので、もう100年にもなるという。陶芸用とは違い、地面に対し垂直に(ちょうど車のタイヤを回すような感じで)ろくろを回し、カンナをあてて、お盆の形に削り出していく。カンナは自分自身で作るそうで、それができないと、一人前の木地師とはいえないという。
 大蔵さんのカンナを操る精妙な手つきが、お盆の微妙なカーブを作り出していく。リズムにのった軽快な動き。音。実に簡単にお盆の形が出来上がっていくように見えるが、ここまでの技術を身につけるまでには10年はかかるという。
父である、先代の多喜雄さんに解説をいただいた。
「ろくろに木をピタッと合わせられるようになるだけでも1年から2年はかかります。全ては経験です。指先の微妙な感覚というのは体で覚えるしかないのです」
機械には決して真似のできない歴史や伝統に裏打ちされた確かな技術がここにある。
「私も入ったばかりの頃は全くなにもできませんでした。まわりの職人さんの技術を見よう見真似で少しずつ少しずつ覚えていきました。徐々に上手くできるようになっていくのが、とてもうれしかったことを覚えています」

伝統的な方法で

 ふと見ると、天井裏にはたくさんの輪切りになった木が置いてある。お盆の材料とするため乾燥させるのだ。
「数多く作る普及品でも最低一年間は乾燥させます。『自分はこういう形になるんだ』ということを木に教え込むのです。こうやって長い間乾燥させて、ひび割れなどしなかった木だけを加工していきます。素材として多く使われているのは、ケヤキやトチなどの広葉樹です。ちょっと特殊な木となると、それこそ何十年と寝かせてあるものもあります。特に古いものでは、お祖父さんの代から寝かせてあるものもあります。その中には、今では手に入らない珍しいものや、大変貴重なものもあります。今より昔の木の方が質が良いという種類のものも結構あるのです。当然全て天然木です。波打ってるものや、面白い木目のものなど、変わった形のものは今ではなかなか手に入らないですね」
 削り終えたものに、漆を塗ると完成だ。製品にするためにはその工程だけでも5回くらいの作業が必要になるそうだ。丁寧で手の込んだ仕事。「自分は塗師屋ではないので、この面に関してはまだまだ勉強しなければならないことがたくさんあると思っています。普及品は漆ではなく、ウレタンを吹き付けて完成させますが、やはり仕上がりには差ができますね。ウレタン吹きつけだと、使っていくうちに色が褪せていってしまうのですが、漆の方は使えば使うほど、どんどん味が出てくるのです」

当たり前のことを当たり前に

 平安時代から続く伝統。この重さはかなりのものだと思われるが、大蔵さんはどのように考えておられるのだろうか。
「この仕事に限らず、きっとどの伝統的な仕事にも言えると思うのですが、今の自分があるのは自分の力ではなく、全て父親だったり、その父親だったり、そのはるか前からずっと続けていてくれた人がいたからこそだと思います。私たちはいわゆる職人であって、芸術家や作家ではありません。自分自身としては、毎日当たり前のことを当たり前にやっているに過ぎないのです」
このような気負いのなさが、歴史や伝統を守っていくのには大切なことなのかもしれない。
大蔵製盆所
愛知県名古屋市中川区露橋2-11-12
TEL:052-361-1319

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